放浪者の瞳

 旧暦から恒星暦へと暦が変わってすでに千年以上が経った現在も、惑星タッシールは栄華の極みにあるように見えた。辺境惑星の羨望の視線を浴びて、この星の住人たちは常に取り澄まし、己の権勢を誇ってきたのだ。
 そう。ここトルテリア共和国首都バルヴァに建つ国立トルテリア大学もその羨望の視線を向けられる施設の一つに違いない。彼、アッサジュ・パルダという考古学の権威をそこに飼っているゆえに……。
 窓の外は灰色の雲が垂れ込め、秋の物憂げな愁雨が今にも降り出しそうな気配だった。キャンパス内を学生たちは急ぎ足でせかせかと歩き回っている。その姿は降りだそうとしている雨と競争をしているようだ。
 部屋の窓から眼下のキャンパスを見下ろしていたアッサジュ・パルダは、扉をノックする音にふと我に返って返事を返した。
 灰色がかった蒼紺の視線を扉へと注ぐと、その木製の扉が開いて入ってきた人物をしげしげと観察する。小綺麗に短く刈り込んだ黒髪に褐色の肌の男だった。歳は三十代前半と思われる。顔の造りは悪くない。
 訪問者の褐色の顔のなかに暗い色合いの翠の瞳が鋭く光っていた。深い知性を宿した瞳の色は優しいがどこか孤独を含んでいるように見える。
「やぁ、ワーネスト。久しぶりじゃないか!」
 気さくに声をかけると、アッサジュ・パルダは散らかった応接セットの机の上を片付けて、客が取り敢えず落ち着けるスペースを瞬く間に造り上げた。
「ご無沙汰しております。教授は相変わらずお元気そうですね。そうそう、お嬢さんがもうすぐご出産だと伺いましたよ。とうとうお祖父ちゃんですか」
「なんだね。この老いぼれに孫の世話でもして隠居しろと言うのかね?」
 手早く香茶を淹れると、老教授はどっかりと相手の向かい側に腰を降ろして苦虫を噛み潰したようなしかめっ面を見せた。
 骨格のがっしりした体格のアッサジュ・パルダは年は取っていても隠居するような柄には見えない。白髪のほうが多くなった頭髪を撫でつける指は、学者というよりは労働者といった感じさえ受けるのだ。
 ワーネストと呼ばれた男は苦微笑を浮かべ、受け取った香茶を一口すすった。
 香草をブレンドした香茶の味は独特で、好き嫌いが分かれるところだろうが、この男の口には合っているらしい。苦微笑が消えると、その顔には満足そうな笑みが刻まれた。
「トルテリアの香茶はどれも美味いですね。オレの国だともっと味が薄くて、物足りないんです。この国にいるとずっと香茶を飲み続けていたいような気がしますよ」
「もちろん! このトルテリア共和国の香茶茶葉は宇宙一だからね」
 まるで自分が褒められたように胸を張ると、教授は人なつっこい笑みを浮かべて年下の男を見つめ返す。そしておもむろに自分のカップから香茶をすすって、さも威厳を見せるように重々しく頷いた。
「発掘は順調なのですか?」
 ひとしきり香茶談義を繰り広げていた二人の間にふと沈黙が落ちると、年下の訪問者が何げなく質問をしてきた。
「うむ。まぁ、順調とは言えないが……。発掘にはつきものだからね、現地でのトラブルや費用の問題などは」
「あの海のなかから突きだしている奇山にいったいどれくらいの考古学的価値があるのかしりませんけど……。あそこの島の住人は保守的で排他的な気質をしている者が多いんですよ。気をつけてください」
 心配そうにこちらを伺う男に「大丈夫だ」と手を振って応えると、老教授はポットに残っていた香茶を二つのカップへと注ぎ足す。キザにならない程度にもったいぶった手つきがいかにも洗練されており、彼が充分な教養と学問を身につけられる裕福な市民の出であることを示していた。
「君のほうこそずいぶんと忙しいのではないのかね? 惑星一の発行部数を誇る月刊誌プラネットで署名入りライターを務めているとなれば、忙しさは半端ではあるまい?」
「えぇ。今日も取材準備の途中でして……」
 再びカップに口をつけるとワーネストは誇らしげに目を細める。その瞳の奥には野心的な光が点っていた。
 雑誌プラネットは惑星タッシールの歴史や環境、科学などありとあらゆる分野の最先端を紹介する雑誌である。惑星住民のなかでこの雑誌の名を知らない者はいないと言っても過言ではない。
 その雑誌で記事の最後に文責署名を入れられる記者というのは、かなりの実力者だと言ってもいい。専門分野はあるにしろ、彼ら署名ライターは実に多くの知識をその脳内に収めているのだ。
「私の発掘内容以上に、君の好奇心の触覚に触れるような面白いネタがあるのかね? それは是非聞かせてもらいたいものだな」
 アッサジュ・パルダは子どものように好奇心で光る視線を相手へ注ぎ、相手が話し出すのをワクワクとして待っていた。
「教授、記事になるかどうかも判らないんですよ? ……あぁ、判りましたよ。そんな恨みがましい目で見ないでください。絶対に他言無用ですからね」
 相手の好奇心をいなそうとしたワーネストは、不満げに頬を膨らます老教授の様子に苦笑いを浮かべる。まったくもってこの老人は子どものようだ。面白い玩具を取り上げようとすると、途端にふてくされたように機嫌を悪くするのだ。
「実は今回はガイアへ飛ぼうと思いましてね。今日はそのスターシップの手配をしに行くんです」
 アッサジュ・パルダが自分の言葉に失望どころか、なおいっそうの好奇心を募らせたらしいことを理解すると、ワーネストは香茶を一口すすって微かなため息をもらした。いまさら話をやめるわけにもいかない、といったように。
「あの惑星に大したものがあるとは思えませんけど。大昔に海に飲まれた大陸のことを調べてみようと思っているんです。このタッシールの大沈没時代を彷彿させる話題でしょう?」
「ほう! あの辺境の惑星にも大陸を呑み込んだ海があるのかね。それは興味深い。だがあの惑星は双子星ではなかっただろう? 我がタッシールの双子星が消滅したときのような激しい変動などなかっただろうに、いったいどうやってそんな巨大な海のうねりができたのかね?」
 お伽噺をねだる子どもそっくりに瞳をキラキラと光らせた老人の態度に、ワーネストが苦笑いを深くした。まったく好奇心の塊のような御仁だ。
 手に持ったままのカップの縁を指先でなぞると、ワーネストはやや目を細めてじっと香茶の水色に視線を落とした。指でなぞっている振動で、水面には小さなさざ波が立っていた。
「惑星の地軸が狂ったんですよ。神話の書物にも海に飲まれる大陸の話は出てきますから、かなり大規模なものだっと思います。その辺りと絡めて記事にできたらいいんですけどね」
「なるほど! 遠いガイアとタッシールの意外な共通点か。君ならきっと面白い記事が書けるだろう。しばらくは君の署名入り記事から目を離せないな!」
 老齢の域に達したとは思えない大きな声で相手を称賛すると、アッサジュ・パルダは顔を大きく笑みで崩した。
 この快活な老人に褒められて嬉しくない人間などいないだろう。ワーネストも満点をもらった生徒のように晴れやかな笑みを浮かべ、ついで照れくさそうに鼻の頭をこすった。
「それにしても君はあちこちを旅しているようだね。私がこの国の周辺で地面を掘り返しているのと比べると、まったくタフだと思うよ」
「何を仰っているんです、教授だって充分タフじゃないですか。だいたい発掘の指揮をとりながら自分もシャベルを持って地面を掘り返すなんて……。いい加減にお歳を考えていただきたいものですね」
「この老体から発掘の楽しみを奪おうというのかね? それはないよ。この楽しみを取り上げられるなんて我慢ならん」
 教授の太い指先はどうやら発掘の重労働のために培われたものらしい。優雅に指を振る動きは滑らかだが、妥協を許さない職人のような頑固さがそこにはあった。
「そうそう。ところでスターシップの手配をするということは周期船で行くわけではないのかね?」
 カップの底に残っていた香茶を飲み干すと、老教授は首を傾げた。辺境惑星とはいえ、ガイアにはここタッシールから定期巡航船が出ているのだ。専用のスターシップをチャーターするより遙かに安上がりだろうに。
「えぇ。周期船で行くと思わぬ足止めを喰いそうなんですよ。ここ数ヶ月、あの星団域は宇宙嵐が断続的に続いてましてね。周期船では辿り着けないかもしれません。だからあの地区に詳しい船長を専任で雇うことにしたんです」
 それを聞いたアッサジュ・パルダが「う〜む」と低い唸り声をあげた。恒星から噴き出す宇宙風。その風の巻き起こす宇宙嵐は厄介な代物だ。嵐のただ中に突っ込んでしまうと、嵐に吹き飛ばされたり磁場が狂ったりとかなりの危険を孕んでいる。
「あの辺りがそんな危険な状態だったとは。それで……見つかったのかね、その優秀な船長とやらは」
「もちろんです。今日これから逢いに行くんですよ。直接交渉できる手筈を整えましたからね」
 その言葉に老教授の瞳がキラリと光る。好奇心以上の興味を含んだ相手の気配に、ワーネストが一瞬たじろいで身を引いた。
「だ、駄目ですよ。一緒に連れていけませんからね!」
 思わず声を上擦らせてワーネストは叫んでいた。ところが老教授はまったく相手の言葉を聞き流して、いそいそと外出用のコートを取りに立ち上がっているではないか。
「教授!」
「まぁまぁ。ちょっと逢うくらいならいいじゃないか。ガイアのある星団域に詳しい人物となれば、当然ガイアの歴史にも造詣があるとみたがね? こんなチャンスは滅多にないだろう? なぁ、ワーネスト。まさか老い先短い老人の愉しみを取り上げたりしないだろうね」
「これから向かう先は決して治安がいい場所ではないんですよ!」
「そんな場所に君は一人で行くのかね? それならなおさら私が一緒に行かなくては。大事なかつての教え子に何かあったら大変だ」
 抗議の声をあげようと口を開きかかったワーネストは幾度か舌を動かそうと試みた。だがそれらすべてが無駄に終わると、肺のなかの空気を全部絞りだすほどの深いため息をつき、片手で額を覆ってうめき声をあげる。
「船長に逢っても、相手の機嫌を損ねるような真似はしないでくださいよ。今までの苦労が水の泡です」
「なぁに。麗しき神々は善良な市民をいつだってお救いになるものさ。人生なんて、どうとでもなるものなんだよ、ワーネスト」
 気さくに年下の訪問者の背をポンポンと叩くと、老人は悪戯に成功した少年のように愉快そうな笑みを浮かべて相手を圧倒した。
 その灰色がかった蒼紺の瞳の力に逆らえないのか、ワーネストは引きつった顔に無理矢理笑みを浮かべるしかないようだった。


 辿り着いた場末の酒場は降り出した雨のなかで見るとひどくうらぶれた感じがする。剥げかかった看板に刻まれた文字はもうほとんど読むことができない状態だが、目をすがめてじっと見ていると辛うじて「宵星亭」という文字が浮かんで見えた。
「なんとも興味深い建物じゃないかね。この街にまだこんなに古い建物があるとは思いもしなかったよ」
 老教授の、古びているが仕立てのいいコートの肩に小雨が降りかかっていたが、濡れることを気にしない質なのか、彼は目を細めて酒場の外観を観察していた。
「教授。悪いことはいいませんから、ここでお帰りになったほうがいいですよ。ここは教授のような方がくるような場所ではないと思いますから……」
「まだそんなことを言っているのかね。さぁさぁ、そんなことを言わずに偉大な冒険を敢行してくれる船長に逢わせてくれたまえ」
 そう言うと老人はさっさと一人で壊れかかった扉を押し開けて店内へ入っていく。まったく不用心というか、大胆というか。その後を追いかけながらワーネストは諦めたようにため息をついた。
 狂雑なポップスががなり立てている店内には、それに見合った男女が入り浸っていた。
 ドラッグの甘ったるいえた匂いが充満し、シガーの紫煙が店内の最奥を霞ませている。ここには、混沌と頽廃があった。
 ところがカウンターのなかに立つバーテンは、およそこの傾きかかった酒場に相応しくない姿をしてるではないか。目の奥を焼く炎のような赤髪に象牙色の柔らかな色合いをした肌は薄暗い店内では一際目を引く存在だ。歳もまだ若く見える。
 感心した様子でその姿に見惚れている老教授の脇をすり抜けると、ワーネストは臆する様子もなくそのバーテンへと近づいていった。
「やぁ、ヴィーグ。オレの客はもう来ているかい?」
 カウンターで忙しく手を動かしていた若者が心持ち顎をあげてワーネストへと視線を走らせた。愛想のない表情で、相手を不快にさせないギリギリの拒絶を感じる態度だ。
 その見上げる瞳が炎の髪とは正反対の氷色をしていることに気づいて、アッサジュ・パルダは目を見張った。薄い色の瞳をしている者はこの国には少ない。それでなくてもこの赤髪は目立つだろうに、氷海の色をした瞳は見る者を捕らえて放さない。
「奥にいますよ。今、マスターと話をしているはずです」
 炎の情熱も、氷の拒絶も何もない無感動な声が若者の喉を震わせたとき、店の奥から大柄な男が顔を覗かせた。癖の強い鉄色の髪に鮮やかな空色をした瞳がよく映える男だった。
「マスター。ご到着です」
 現れた男に気づいたバーテンが無機質な声をその男にかける。どうやらこの空色の瞳をした男がこの酒場のマスターらしい。手近な客と談笑していたが、ふと顔をあげて値踏みするようにワーネストとその脇に立つ老人を眺め回した。
 平均身長より頭一つ分ほど高い男から見下ろされも、訪問者たちは威圧感は感じなかった。彼が長年の間に客商売で培ってきた特技だろう。客との間に適度な距離を置く店の主の態度はむしろ心地よくさえあった。
「いらっしゃい。お目当ての方は奥ですよ。……到着されましたよ」
 ワーネストを手招きしたマスターが奥の扉を半開きにして中に声をかけていた。
 年下の同伴者と供に他の客の間をすり抜けてその扉へと近づきながら、アッサジュ・パルダはその様子を面白げに眺めている。得難い経験の一つ一つを脳に刻みつけようとでもいうのか。
 喧しい店内を抜けて奥の部屋へと案内されて入っていくと、そこには数人の男たちがのんびりと杯を傾けているだけの静かな空間だった。
「あ〜……。お待たせしました」
 今までの店内の様相とはまったく正反対の、むしろ知性を深く宿した瞳を持つ男たちの姿にワーネストのほうは少々面食らっているようだ。その横で老教授がニコニコと嬉しそうに笑みを浮かべて立っている。
「ワーネスト・トキア氏、ですか? お一人でおいでになると伺っていたが?」
 猛禽類の瞳を思わせる琥珀色の瞳を持つ男が、瞳と同じ鋭い批判を込めた声をあげた。まわりの男たちも口にこそ出さないが、賛同の視線を向けている。約束が違うのではないか、と。
「すまんねぇ。私が無理矢理にくっついて来てしまったのさ。ガイア星域に詳しい人間なんてそういないからね」
 ワーネストが口を開くよりも先に、老教授がコートを脱ぎながら豊かな声で返事をした。外の肌寒さを一掃する温かな声だったが、男たちはさらに胡乱な視線を老人へと向けるばかりだ。
「オレの大学時代の恩師です。口の堅さは保証しま……」
「お喋りな奴は嫌いだ!」
 初めに口を開いた男が厳しい声でワーネストを制した。それに射すくめられたようにワーネストが硬直する。最悪だ。予定外の人間を連れてきたことが彼らを怒らせてしまったようだ。
「おやおや。ワーネスト。君の知り合いは随分と短気な人間のようだね。よほどこの年寄りを寒空の下に放り出したいらしい」
 言い訳に苦慮していたワーネストは教授のこの声に余計に肩を落とした。この老人にはこの緊迫感が判らないのだろうか? このままでは今まで自分が準備してきたことがすべて水の泡だというのに。
「自己紹介がまだだったねぇ。私はアッサジュ・パルダ。国立大学で教鞭を取らせてもらっとる。あ〜。専攻は……」
「考古学でしょう? 今はイフォーバ山をあちこち掘り返しているそうじゃないですか。山の精霊に祟られやしませんか?」
 今まで黙っていた一人の男が口元に薄く笑みを浮かべて老教授とワーネストを見上げている。光量を落とした室内にも関わらず、彼の周囲は輝いているように錯覚しそうだった。
 まったく混じりっけのない白い髪はまるで老人のようなのに、白人種らしい肌の艶は決して年寄りに見えない。長く垂らした前髪で顔の左半分を覆っている。彼の年齢はむしろワーネストよりも若そうだ。
 精悍な顔立ちのなかで一つの暗い翠の瞳が微かな好奇心に輝いていた。
「私をご存知かね? それは光栄なことだ。あ〜。名前を伺ってもかまわんかね、お若いの?」
 嬉しそうに笑みを浮かべる老人とその若者を交互に見比べてワーネストは戸惑っている。だが下手に口出しをするとこの一瞬の和みが崩れてしまいそうで、彼は手を出しかねていた。
「ここでは俺たちの名前を聞かないことです、教授。あなたの命を保証しかねる。だが呼び方に困るのなら……俺のことはガイスト、と呼べばいい」
 やんわりと拒絶を漂わせながらも相手は老人を受け入れたようだった。周囲の男たちはまだ険悪さを残した視線を立ったままの二人に向けていたが、この白い男の言葉を遮ろうとはしない。
「ガイスト? えぇっと……。確か、私の記憶に間違いがなければガイアのどこかの地区の言葉で亡霊という意味があったと思うがね」
 太い指先で自分の額をトントンと叩きながら知識をひっくり返している老人の態度は至って真剣で、相手を出し抜いてやろうなどという魂胆はまったくないようだった。それが気に入ったのか、若者が幾つかの空席を指さした。
「座ったらどうです? 入り口の側じゃ暖房が行き届いていないでしょう」
 ようやく同じ席につくことを許されて、ワーネストはホッと吐息を漏らした。恩師を席の一つへと誘うと、自分もその隣へと腰を落ち着ける。やっとこれでスタートラインに並べたのだ。
「やれやれ。寒くなると昔痛めた膝が疼いて困るよ。この国は雨期に入ると急に冷え始めるからねぇ。老骨には堪えることだ。……寒さしのぎに一杯引っかけてもいいかね?」
 室内の大テーブルに並んだ人数はアッサジュ・パルダとワーネストを入れて六人になった。自分たち以外の四人の顔を見回すと、老人は無邪気な笑みを浮かべてボーイを呼ぶ仕草をして見せる。
「どうぞ。俺たちも丁度酒を追加したいと思っていたところだ」
 白い男、ガイストが目配せすると琥珀の瞳をした男が手元の呼び鈴を押した。実際に彼らが酒を追加したかったのかどうかは疑わしい。それぞれの手元にはまだ充分な酒が残っているように見えたから。
 ほどなくして先ほどのマスターが顔を出し、次々とあげられる注文を手早く確認すると表へと引っ込んでいく。扉が開いているときだけ、外の喧噪が聞こえてくるが、それ以外は室内はまったく静かなものだ。
「イフォーバ山からは宝物でも出てきましたか?」
「今のとこは何も出てきやせんよ。雨期に入ってしまったのでね。乾期になるまでは発掘作業は中断せざるをえん。まったくもって忌々しい雨だよ」
 同じテーブルについたものの話を切り出せずにいたワーネストは、アッサジュ・パルダと白い男の会話を横で所在なく聞いているしかなかった。
 他の男たちは会話に加わろうとはしない。それが自分たちを拒絶しているように感じて、ワーネストは胃が痛くなってきていた。この場所に恩師を連れてきたことは、やっぱり間違いだったのかもしれない。
 あまり待たされることなく注文した酒が届けられた。トレイを片手に入ってきた炎の麗人は顔色一つ変えることなく、注文主の前に酒を置いて立ち去っていく。取りつくしまもない態度とはこのことだろう。
 注文した蜜酒ミードを口に含むと、老教授は満足そうに顔をほころばせた。
「なかなか美味しい酒だ。寒い陽気のときには酒は心の友だね。この歳になると一緒に酒を飲んで語り合ってくれる友人も少なくなってきてねぇ。寂しいことだ」
 そのアッサジュ・パルダの言葉にガイストが小さな笑い声をあげる。それはバカにしたような高慢な笑いではなく、静かだが親しみのこもった笑い声であった。
 だが残りの男たちはその和やかな雰囲気に同調することなく、黙々と自分たちの酒を飲み干している。その彼らの態度にワーネストは自分のこれまでやってきたことが無駄に終わったのだと、内心ではガックリしていた。
 なんということだろう。ガイアに渡るためにこの数ヶ月、ツテを頼ってあちらこちらを奔走してきてきたというのに、最後の最後で自分の判断ミスから何もかもを潰してしまったのだ。
 隣で歓談する恩師を恨むのはお門違いだが、誰かに八つ当たりできるというのならやはりこの老教授に八つ当たりしたくなるではないか。
 鬱々と落ち込んでいるワーネストの耳に突然彼の名を呼ぶ低い声が届いた。驚いて顔をあげると、自分と同じ瞳の色をした男とまともに視線が絡まった。思わず息を呑み込んでしまった。
「え……?」
 毎朝、鏡のなかで自分の顔のなかにある同じ色の瞳を眺めているが、この白い男の瞳はどこか凄惨な輝きを放っているように感じる。右目だけしか見えないが、彼のもう片方の瞳も一緒に見ることだけは勘弁してもらいたいものだ。まるで死の淵を覗き込んでしまったような気分になる。
「出航は四日後だ。今日と同じ時刻に、この酒場で待っている。そこからシップまで案内しよう」
 相手が何を言っているのか、一瞬理解できずにいたワーネストだったが、それが自分が本来ここへ来た目的だったことを思い出すと、彼は隣の老教授に視線を走らせた。当のアッサジュ・パルダは相変わらずニコニコと笑みを浮かべてかつての教え子の顔を見つめ返しているばかりだ。
「あ、ありがとう。四日後の同じ時刻だね?」
 相手からの確約をもらえるとは思ってもみなかった。相変わらず周りの男たちはムッツリと黙り込んでいるばかりだったが、特に反対する気配はない。針のむしろの上に座らされるような航海になるかもしれないが、ともかく当初の目的を達したのだ。
「遅れるな。時間になっても現れなかったら、置いていくからな」
「その日は仕事を全部キャンセルして、寝坊しないように家中の目覚ましをセットしておくことを勧めるよ、ワーネスト」
 気楽に教え子の肩を叩く老教授が茶目っ気たっぷりのウィンクをしている。その顔にキスの雨でも降らしたくなったが、ワーネストはその馬鹿馬鹿しい行為を思いとどまると、亡霊の名を持つ男へと腕を差し出した。
「よろしく、キャプテン・ガイスト。えぇっと、報酬はあの額でいいということかな?」
「けっこうだ。もちろん、チップを弾んでくれるというのなら、断る理由はないがね」
 自分の掌を握り返してくるガイストの手は、亡霊という名とは反対に温かかった。ひんやりとした手の感触を想像していたワーネストはその意外な温もりに目を丸くして戸惑うばかり。
すがしき旅路を送らんことを」
 契約の成立を祝うように老教授が手元の杯を掲げた。
 恩師の言葉が、遙か昔に旅人たちの間で交わされた祝福の挨拶であることを頭の隅でチラリと思い出しながら、ワーネストはガイストに安堵の笑みを向けた。


 四日後、再び酒場へとやってきたワーネストはカウンターにいる見覚えのある人物の背中に釘付けになった。
「教授、ここで何をやっているんですか!」
 そう。大学時代の恩師アッサジュ・パルダ教授がのんびりとバーテンの若者を相手に蜜酒ミードの杯を傾けているではないか。
「やぁ、ワーネスト。時間よりも早いじゃないか。昨日は興奮して眠れなかったんじゃないかね?」
 ピクニックを楽しみにして寝つけなかった子どもと教え子を同列に扱う老人に、ワーネストが呆れた顔をして口をへの字に曲げる。だが当の老教授はまったく意に介していない様子で、酒のお代わりを若いバーテンに頼むと椅子の上でくるりと教え子に向き直った。とても老人らしくはない快活な動作だ。
 ふてくされる教え子の態度すらアッサジュ・パルダにはおかしな曲芸の一種であるらしい。陽気な笑い声をあげてウィンクをして見せる。
「若い人と話をするというのはいいね。刺激があって面白いものだ」
 呆れ顔だったワーネストが怪訝そうにバーテンを盗み見た。教授が今まで話していた若い相手とはこのバーテン以外にいないだろう。無表情で客に相槌を打ちそうもないこの若者相手にいったいどんな話ができたのか。
「どうぞ、教授」
 丁寧な手つきでアッサジュ・パルダの前に置かれたグラスのなかには鮮やかな泡混じりの琥珀色をした液体が入っていた。
「おや? ヴィーグ、注文したものと違うようだが?」
「あまりたくさんお酒を召しても身体に悪いですよ。そろそろ脳をシャッキリとさせないと。オレンジジュースを多めにしたスプラッシュです」
「私は満足に酒も呑ませてもらえないのかい?」
 さも哀しそうに首を振る老教授の肩越しに若いバーテンが薄い笑みをワーネストへと向ける。
 ワーネストはヴィーグの笑顔など一度も見たことがなかった。彼はこれまで幾度も足を運んでいるというのに。それなのにこの老人はたったの二度逢っただけでこの若者の心を掴んでしまったようだ。
「まぁいい。スプラッシュでもアルコールには違いないからね。さぁさぁ。ワーネスト、お迎えが現れるまでここに座って話し相手になってくれんかね?」
 自分の隣の椅子を軽く叩きながらアッサジュ・パルダはいつもの人懐っこい笑みを浮かべた。
「えらく軽装備じゃないか。他の荷物は現地で調達するのかね?」
 バーテンに自分と同じ飲み物を注文すると、老教授は教え子の格好をしげしげと眺めた。ワーネストは荷物を抱えているが、これから辺境惑星へ旅立つにしては随分と少なく見える。
 いったいアッサジュ・パルダの笑顔にどんな魔力があったものか、当のワーネストはそれまでのふてくされた気分を脇に押しやってのっぽの椅子に腰を落ち着けていた。
「着替えなんかはあちらで調達すれば充分ですからね。取材用のレコーダーや撮影機器さえあればなんとでもなります。未開の地へ行くわけじゃないですから」
「なるほど。それはそうだ」
 出てきたカクテルで互いに乾杯すると、二人はその香りと味をひとしきり堪能した。
 アーモンド風味のリキュール・アマレットとオレンジジュースをソーダ水で割っただけのこのカクテルは、優しい口当たりで意外と人気がある。決して酔わないとは言わないが、へべれけに酔うほどの酒でもないだろう。
 周りの喧噪とはかけ離れた、落ち着いた雰囲気が二人の周囲に漂っていた。その穏やかさをうち破る喧噪が彼らのすぐ脇であがった。
「ブルジョアがいったいこんな場末になんの用だよぅ〜?」
「この哀れな貧者にお恵みを施してくれる、ってぇかぁ?」
 酔っ払ってすっかり出来上がっている二人の酔漢が老人の仕立てのいい上着の肩にぶつかってくる。アルコールだけではなくドラッグもやっているのか、彼らの白目の部分は黄色く濁っていた。吐く息は腐り始めた生ゴミよりもひどい匂いがする。
 酔漢たちは二人ともかなりがっしりとした体格をしていた。浅黒い肌には蛇や髑髏の入れ墨が覗き、身につけている衣装は善良な市民からはほど遠い、まるで戦闘服のような出で立ちだ。
 ワーネストは無視するように恩師の肘をつついたが、ほろ酔い加減のアッサジュ・パルダは人の良い笑みをその酔っ払いどもに向けて手まで振ってみせた。
「やぁ、兄弟。楽しんでおるかね? 今日は旅立ちにはとてもいい日だよ」
「きょ、教授!」
 絡まれているというのに、まったく暢気な顔をしている老人にワーネストは慌て、助けを求めるようにカウンターの向こうに立っているバーテンを見た。だが若者は涼しい顔をして静観しているだけで、助ける気などない様子だ。
「お〜、じいさん。おれたちゃ、楽しみたいのよ」
「ものは相談だがよ〜。あんたの懐のなかにある財布を少し軽くするお手伝いをしたいわけだなぁ」
 ゲタゲタと笑いながらカウンターに寄りかかり、アッサジュ・パルダとその連れを値踏みする酔漢の態度は傍若無人だ。ところがそんな無礼な態度さえ気にした様子もなく、老教授は相変わらず口元から笑みを消そうとしない。
「この薄給取りの老いぼれにはあんたがたの満足しそうなものは与えられそうもないがねぇ。あるのは長年貯めに貯めた知識だけだよ」
 にこやかな顔をしたまま拒絶してみせる老人の態度に酔漢たちがムッとした。怯えて素直に財布を寄越すか、怒りだして喧嘩になるかと思っていたのだが、まったく期待はずれもいいところだ。
「おいおい、じいさん。こんないいお召し物を着込んでいる奴が、おれたち貧乏人に施しもできねぇってワケはねぇだろ」
「そうだぞ〜。その上着を質屋にでも入れて貧しき者に金を恵んでやろうと思わねぇかよ」
 ヘラヘラと笑みを浮かべているが、目を怒らせて酔漢たちがアッサジュ・パルダを取り囲んだ。こうなったら身ぐるみ剥がしてやろうというわけだ。
 様子を伺っていたワーネストが恩師の腕を引く。この状態になったら逃げるしかあるまい。なんとか相手を出し抜いて、この店からできるだけ離れなければ。
「よしなよ。お前たちの敵う相手じゃないよ」
 そのときになってようやくバーテンが口を開いた。氷色の瞳が冷ややかに二人の酔漢を見つめている。アッサジュ・パルダやワーネストに向けていた笑みを引っ込めた若者の瞳には凍りつきそうな軽蔑の色が浮かんでいた。
「あぁ〜ん? ヴィーグ、雇われバーテンのクセして客に説教たれるんかよ」
「おめぇは黙ってろよぉ〜」
 酔いにふらつきつつも不敵な笑みを浮かべる酔っ払いが床に唾を吐きかけた。その粗野な態度にますますバーテンの若者が冷たい視線を向ける。
「勝てやしないよ、お前たちは」
 ふてぶてしく酔漢たちを煽るバーテンの口調にワーネストは焦った。何も喧嘩をふっかけるようなことを言って、ますます自分たちを窮地に追い込むことはないだろうに。
「お〜。それじゃやってもらおうじゃないか? えぇ? この老いぼれと優男におれたちをぶちのめす腕っ節があるってぇのかよ」
 酔漢たちが筋肉質の腕をかまえて上体をゆらゆらと揺らした。喧嘩慣れしているようだ。酔ってはいてもそう簡単にやられそうもない。
「お前たちの相手はこちらの二人じゃないさ。後ろを見なよ」
 顎をしゃくって店の入り口を示した若者の言葉につられて、酔漢の二人とそれに絡まれていた二人の客が同時に振り返った。
 その人影の周囲だけ、薄暗い店内にも関わらず異様な輝きに満ちているようだった。白い影のなかに一点だけ点った暗緑の輝きが凄惨な光を放つ。
 これまでの茶番を見ていたのだろう。不機嫌以上の怒りを滲ませたガイストの顔色に酔漢たちは口をあんぐりと開けたまま立ち尽くしていた。
「ご機嫌じゃないか。いったい俺の客になんの用だ?」
 低い、まるで獄界から聞こえてくるような暗い声に酔漢たちは縮み上がったようだ。口のなかでもごもごと声にならない言い訳をすると、こそこそと人混みのなかへと逃げ込んでいく。
「いらっしゃい、ガイスト」
 バーテンがサバサバとした口調で新たな客に呼びかけた。その声にようやく我に返ったワーネストは胸をなで下ろす。まったくヒヤヒヤするではないか。
 その原因を作った老人に視線を走らせたワーネストは苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。アッサジュ・パルダはあっけらかんとした顔をしてガイストへと手を振っている。なんという気楽さだろう。
「あなたはずいぶんと強運の持ち主なのか、それともよほどの向こう見ずな性格らしいな。俺の到着が遅れていたら、鳩尾に数発喰らっていたかもしれないのに」
 のんびりとした様子の老教授にガイストが苦微笑を見せた。ワーネストと同じように呆れているのだろう。だが当のアッサジュ・パルダはまったく堪えた様子もなく、ニコニコと笑みを浮かべるばかりだ。
「でも君が登場してあっけなく幕切れだよ。元気かね、ガイスト?」
「ほんの数日前に逢った相手に聞くには陳腐な台詞だと思わないのかい、偉大な考古学者さん」
「おや。君に偉大だと認めてもられるとは嬉しいねぇ」
 太い指を優雅に蠢かせ、老教授は灰色がかった蒼紺の瞳を茶目っ気たっぷりに見開いてみせた。そのおどけた態度にガイストの笑みがますます深くなった。
「呆れるくらい楽天的な人だな」
「私の人生だ。私の思った通りに生きるさ。どうだね、君も一杯やっていかんか。急いで出航することもないだろう? 今のお礼に一杯おごらせてもらえるとありがたいんだがね」
 空席を指し示したアッサジュ・パルダに誘われ、ガイストがひょいとカウンターにもたれかかった。その様子を眺めていたワーネストは、彼の姿が薄暗い店内ではひどく絵になるような気がして感嘆の吐息をつく。
「ふ〜ん。スプラッシュを呑んでいたのか。俺にも同じものをくれないか、ヴィーグ」
 暗緑の瞳をカウンター上に滑らせ、ガイストが注文を口にした。そのゆったりとした態度に老教授が人懐っこい笑みを浮かべる。たいそうご機嫌な様子だ。
「今日は教え子のお見送りかい?」
「そうとも。教え子の楽しい旅路を祝して!」
「宇宙嵐に遭遇して昇天する可能性ってのは考えてないらしいな」
「まさか! 君たちなら大丈夫さ」
 自信満々なアッサジュ・パルダの口調にガイストが喉を鳴らして笑った。その根拠のない自信はなんなのか、と。反対側の隣で聞いていたワーネストにしても、同じように苦笑を浮かべている。
「大丈夫だとも。君たちは放浪者の瞳を持っているからねぇ。ほら。君もワーネストも翡翠の翠よりも深い翠色の瞳をしているだろう? その瞳はね、昔から生粋の旅人の瞳だと言われているんだよ」
 どこか夢見るように話す老人の話の内容に、ワーネストは思わず恩師の肩越しにガイストを見た。相手もこちらへと視線を向けている。
 互いの顔のなかに暗い緑色を確認すると、その瞳に初めで出逢ったとでもいうように慌てて視線をそらした。
「君たちの前には常に新しい旅路が途を開けている。どんな困難があってもきっとそれらを切り抜けていけるさ。考古学で喰っている人間の間ではよく知られていることだ。この惑星の歴史のなかには常にその瞳を持った者が彷徨っているんだよ。……永遠の放浪者の瞳というんだ、君たちの瞳は」
 そういえばそんな話を昔に聞いたことがあったかもしれない、とワーネストは老教授の横顔を見ながら考えていた。いつもあちこちを彷徨っている自分には相応しいではないか。
「なるほど。一所に留まらない俺には相応しいな」
 アッサジュ・パルダの向こう側で低く呟いたガイストがふと遠くを見るように顎を持ち上げた。彼もまた、あてどもない旅路を行く彷徨い人なのだ。
「君たちは君たちそれぞれの旅路を往きなさい。今回はたまたまその途がちょっと交わっただけだ。だが二人の放浪者の往くところに旅の終焉などないだろう。きっとまた新たな旅路が待っている」
 まるで予言者のように二人の未来を示して見せる老教授にワーネストとガイストが同時に視線を走らせ、年老いた男の顔の向こうに旅人の瞳を持った者を認めてどちらともなく笑みを浮かべた。
「面白い旅になりそうだ」
 微かに笑いを含んだ声で囁いたガイストが、手元のカクテルを一気にあおった。乱暴な手つきであるにも関わらず、その動作は近寄りがたい威厳がある。まるで王のように堂々とした態度だ。
「行こうか、ワーネスト・トキア。出航だ」
 グラスをカウンターの上に戻すと、ガイストが新たな旅路への道連れに声をかける。気負いも何もない、飄々としたその声につられるようにワーネストが立ち上がった。
 その二人の男たちを見送るようにアッサジュ・パルダが椅子ごと振り返る。変わらない笑みを浮かべた老人の顔には、遙かな憧憬が広がっていた。
「汝、すがしき旅路を送らんことを!」
 遠く昔から言い伝えられる旅立ちの言葉を贈ると、老教授は優雅な指の動きで彼らを送る。その自然な仕草には溢れんばかりの親しみが込められていた。
 店の戸口で振り返ったその教え子が、超然とした笑みを浮かべている恩師を振り返る。そっと手をあげて見送りへの謝意を示すと、あとは振り返ることなく扉から滑り出していった。
「お見送り、お疲れ様でした」
 アッサジュ・パルダの背後から年若いバーテンが声をかける。その若い声のなかにも自分と同じ遙かな憧憬が滲んでいることを認めると、考古学の権威と言われ続けている男は晴れやかに微笑みを返した。
「さぁ、ヴィーグ。残された者同士で語り明かそうじゃないか!」

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石獣庭園